|
|
「マグレブ」 日の沈む国を表すこの言葉は、アラビア語でモロッコ、あるいは北アフリカの三国、モロッコ・アルジェリア・チュニジアを指す。北アフリカの西端に隣接する三つの国、大西洋にいどむ地の果ての国々はまさしく西の彼方、日の沈む処の国なのである。
3年間のモロッコ生活を通し多くの風景や人に接しながら写真を撮ってきたが、今回はモノクロのみを集め展示させていただくことになった。マグレブ三国の内、アルジェリアについては、残念ながら政情不安定のため入国することができなかったが、モロッコとチュニジアの、彩りを排した独特の世界を楽しんでいただければ幸いである。
1990年からの3年間はあっという間だった。日の出る国から来た東洋人にとって毎日が驚きと発見で満ちていた。
日本に帰る知人から、安く買い受けたモノクロ写真の現像道具と引伸ばし機。初めてのモノクロ写真は、教えてもらう人もいない田舎の小さな街で、夜遅くまで熱中させてくれた。普段の何気なく見ている風景でも、現像液の中から浮かび上がる映像は、おそろしく新鮮で、色がない故にかえって鮮烈な感動があった。
今回の作品は、昨年大阪で開催した「モロッコ オートアトラスの肖像」で展示した、主にモロッコ、オートアトラス山脈の中腹の街から、山深くに入ったアイトボゥグメズの谷で撮影した山の風景を中心に、新しくモロッコの古都フェズ、そしてチュニジア、中世から残る煉瓦積みのメディナ、トズールの街の情景を加えた。
1er Avril 1999 水 野 秀 彦
カラウィン モスク モロッコ フェズ 迷路のようなフェズのメディナを中心に向かって進むと、モザイクタイルに彩られた回教寺院にたどり着く。時の流れるのも止まってしまったかのようなこの空間に、多くの命が入れ代わり、そして代わらず神への祈りが繰り返される。子どもたちに神の御加護あれ。 |
|
子供の情景 チュニジア トズール 日乾しレンガで作られてたトズールのメディナ。 |
|
スークの風景 モロッコ アジラル |
|
オリーブ工場の男たち モロッコ アジラル |
|
物 貰 い モロッコ アジラル アジラルの中心には食堂や喫茶店があり、そこの客に小銭をめぐんでもらおうといつも物貰いがやってくる。イスラムの国では富めるものが貧しきものに与えることは当然の道徳と考えられている。そんな土地であるから視力も失ってしまったであろうこの老婆も、この厳しい土地に生きていくことができるのだろう。 |
|
ファンタジア モロッコ アジラル 街の祭りの日にははずれの広場でファンタジアが開かれる。男達が馬に乗り、いっせいに駆け出して空砲を撃つ。小さな街中に銃声が響きわたる。 |
|
スークの風景 モロッコ アジラル |
||||||||||
|