Vol.20 | AAS NEWS 発行日 平成17年5月28日(年2回発行) |
ネパール難民
先日、在日クルド人一家が出入国管理事務所への難民申請を却下されるという新聞記事がありました。イラクやアフガニスタンの人たちをはじめとする難民たちは世界中に5000万人以上も存在し、しかもその半数以上が18才未満といわれています。
難民とは「人種、宗教、国籍、政治的意見または特定の社会集団に属するなどの理由で、自国にいると迫害を受けるかあるいは迫害を受ける恐れがあるために他国に逃れた」人々のこと。多神教で知られるヒンズー教国ネパールにはチベットからとブータンからの難民を受け入れる精神的な土壌があります。自らが厳しい財政状況であるのにかかわらず、(もちろん国連はじめ海外からの協力支援はあるものの)近隣国から難民を受け入れていました。
しかし、今、ネパールからネパール人の難民が生まれ、多くの人々がインド方面に逃れているのです。マオイスト支配地域の農民を中心に、30万人を越すネパール人がインドに難民として移動しています。マオイスト支配による徴兵、重い徴税、そして軍や警察との戦闘において農民や反マオイストの市民を「人間の盾」とした非道行為を行うに至ったこと、などがその理由です。また、カトマンズ市内への国内難民も急激に増加しています。市民・農民を含む1万人を越す犠牲者を生んだマオイストと政府軍・警察との戦闘は、ネパールの人たちの正常な社会生活、経済活動を大きく阻害しています。
学生・生徒たちの将来に暗雲が立ちこめ、無力感が漂いはじめています。
「大学を出たところで、ネパール国内で何の仕事に就けるというのか。自分がやりたい仕事はこの国では見つからない。」
専制政冶をおこなうギャネンドラ国王は元々インド寄りの姿勢を示していました。しかし、国王が昨年行った強権発動による独裁政治は、そのインドからも批判されていました。その後、最近行った反政府指導者たちの解放によって、ようやくインドからの軍事支援を取り付けたようですが、マオイストとの戦闘を終わらせる見込みは依然としてありません。
この戦闘で一番の被害を受ける農民たち、ネパール難民たちへの国際的支援・救済策が求められます。そして、子どもたちがその将来の夢を、頑張りによって実現できるような平和で民主的な国としてやり直してほしいと痛切に考えます。
ネパール政府がチベット人救護施設を閉鎖(カトマンズ・ポスト) -2005年1月30日
1月27日付の「カトマンズ・ポスト」がネパール政府が突然、ダライ・ラマ法王ネパール事務所とチベット難民救護事務所を閉鎖したと報道した。チベット難民救護事務所はチベットから逃れてくる難民を保護する機能を果たしており、事務所の閉鎖は今後、チベット難民に深刻な影響を与えることになると思われる。ネパールは2001年の王室殺人事件での政変以来、国会の機能停止と、マオイストとの戦争による混乱が続いている。現在の政府は王室殺人事件ののちに王位についたギャネンドラによる王政独裁の形になっているが、今回のチベット人に対する新しい人権侵害措置が今後どう展開するか、予断を許さない。
毛派拡大に危機感募る 非常事態宣言解除(ニューデリー共同通信) - 4月30日
ネパールのギャネンドラ国王が30日、3カ月ぶりに非常事態宣言を解除した背景には、国際社会の批判と圧力を受ける中、まず隣の大国インドからの軍事援助を得て武装闘争を続ける反政府組織ネパール共産党毛沢東主義派への掃討作戦を強化しなければ、国王自らが窮地に陥るとの判断があったとみられる。 毛派掃討を「テロとの戦い」と位置付け強硬手段に踏み切ったが、国際社会の支持は広がらず国王の目算が狂った形だ。
非常事態解除で言論や政治活動への制限が緩和されるとみられるが、国王は依然として直接統治で全権を掌握。政党活動の全面自由化などには「まだ時間がかかる」との見方が多い。
各政党が国王の命令を無視し続ける異常事態が続いており、国会も憲法も機能していない。その結果、ギャネンドラ国王が専制政治を推し進めることになってしまい、さらに王政に全面的に反対するマオイストとの武装抗争で、国全体が戦闘状態になっている。マオイストとの武装抗争の結果、両者の戦死者は1万2千人を超えており、イラクと同様、国全体が危険な状態に直面している。
カトマンズ難民陳情デモと数百万人の学生デモ(ヒンドスタン・タイムス) - 5月13日
マオイスト暴動で、地方からカトマンズ盆地に避難した人々はテント生活を余儀なくされているが、その大部分が食糧難だ。住所が不定なので政府側からの配給もなく、陳情デモが行われた。
また、4月、軍の発砲で負傷した友人のため抗議する学生は数百万人にのぼり、ほとんどすべての学校を閉鎖してストを行った。なお、15日も2万5千の公立学校を閉鎖する予定。(学生数は不確実)
誘拐された学生600人を政府軍が解放(カナダブロードキャスティング社) - 5月16日
政府軍はニスコットの山岳地帯で、15日にパルパとタハヌから誘拐されたおよそ600人の学生たちを救出した。マオイストは以前にもイデオロギー教育のため散発的に誘拐を繰り返している。
大規模な戦闘で毛派50人が死亡(フランス通信社) - 5月18日
ウダイプールのタプレで衝突があり、保安員9名とマオイスト約50名が死亡したと公表。一方マオイスト側では、指揮官を含む16名が死亡と述べている。2月1日以来最大の衝突。
AAS会計報告
1.平成16年度AAS活動報告
平成16年
5月25日 AASニュース VOL.18発送 90部
8月20日_29日 ネパール出張調査
平成17年
1月18日 AASニュース VOL.19発送 100部
2月27日 豊橋市国際交流フェスティバル
活動展示参加
2.平成16年度決算報告書
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[収入の部] 繰り越し |
93,484 | |
基金より利息 | 18,856 | 外貨定期 |
会費収入 | 66,000 | 33名 |
寄付金 | 133,500 | 15件 |
AASプラス2への寄付金 ※3 | 40,500 | 4件(匿名様 ソニーグルン) |
募金 | 749 | 1開催 |
合計 |
353,089 | |
[支出の部] 奨学金 |
218,850 | JAANへ入金・送金分 |
AASプラス2奨学金 | 36,000 | ソニーグルン |
送金手数料 |
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ソニーグルン送金手数料4500円含む |
旅費交通費 | 5,825 | |
事務用品費 | 3,254 | |
交際費 | 4,634 | |
租税公課 | 3,771 | |
通信・印刷費 | 34,855 | AASNEWSほか |
外注加工費 | 10,500 | HP H17管理費 |
平成17年度に繰り越し | 26,190 | |
合計 |
353,089 |
※1.基金への新規積立てはありません
2.AAS基金は2005年3月末現在、米ドルで$39,781.53
3.従来は高校卒業後の奨学金は完全別会計にしていましたが、AAS卒業生でAAS会員が里親である場
合に限り今後は「AASプラス2」として、里親支援をしていく予定です。ネパールでは10年生(SLC受
験まで)が一応の高校卒業となっていたのですが、近年、大学進学前にさらに2年間の「後期中等
教育:10プラス2」が普及しつつあり、JAANからの継続支援要請が強くなっておりました。この「AAS
プラス2」を希望する卒業生情報などは今後その都度ご紹介します。なお、会員の河田恵子さんが以
前からご支援されているアヌパマ・シャルマさん(ほか1名)はそのまま別会計としております。
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ホンジョラス万歳!_
鈴木順久(青年海外協力隊グァテマラOB)
ホンジュラスの旗をごらんください。白と青のすっきりとしたデザイン。一度見たら忘れられないでしょう。
上部の青はカリブ海、下部は大平洋。そして中央にある5つの星は中米5カ国(グァテマラ、ホンジュラス、エルサルバドル、ニカラグア、コスタリカ)を表しています。
さて、ここで皆なさん、よーく考えてみて下さい。世界の他のどの国が、他国を自国の旗の中に取り込んでいるでしょうか?しかも隣国って普通は仲が悪い。だからないでしょ?(あったらスミマセン)。私は声を大にして言いたい「ああ、ホンジュラスよ、あなたは何て人がいいのでしょう!」
ホンジュラスの旗は、ホンジュラス人の持つ人の良さと協調性まで表しているかのようです。そんなホンジュラスの人々、普段は何をしているのでしょうか。仕事!に決まっていますが、ちょっと日本では見かけない面白い仕事を紹介します。
イグアナ売り:毎年、4月くらいにあるセマナ・サンタ(聖週間/イースター)が近付くと、カトリック教が大部分を占めるホンジュラスでは、肉を食べないようにします。代わりに消費されるのが魚なのですが、これにイグアナも加わります。この時期のイグアナはお腹に卵を持っていて、これが滋養強壮に効くと思われています。で、幹線道路沿いに手に手にイグアナを持ったおじさん、おばさんが車に向かって買って買ってと言うのです。オランチョ県ではイグアナのスープは郷土料理となっており、「ハモ」と呼ばれています。味は、魚と鶏を足して2で割ったような感じ。イグアナは草食性ですから、肉はあっさりしていておいしいですよ。
アリクイ売り:私も1度しか見たことがないのです。しかし、サン・ペドロ・スーラのロータリーで、おじさんが白黒の大きなぬいぐるみを抱えているように見えたけど、あれは確かに生きたアリクイでした。かわいいものだ、と思いました。アリクイをペットにしたいと常々考えているホンジュラス人は恐らくいないでしょうから、売れたかどうかが気になります。
ニワトリ売り:まとも、ですね。これは絵葉書にもなっているホンジュラスの風物詩です。自転車のハンドル部と後輪部に竹竿を通し、左右それぞれに5羽づつくらい生きたニワトリをぶら下げて自転車をこぎながら売って回ります。町のスーパーではもちろんきれいにカットされたとり肉のパックが並んでいますが、郊外では生きたニワトリを家庭でさばくことが多いのです。
サンタクロース:暑いクリスマス!少なくともホンジュラスではそうです。事務所のスタッフとその家族のためにクリスマスパーティーを開催したことがあります。サンタクロースを演じるというその痩せたホンジュラス人と会って「ちと、やせすぎだろう?」と言いますと「いや、当日はまくらをお腹にいれるから大丈夫だ」とのこと。実際そのサンタクロースは見事なものでした。プレゼントを配ったり、子供と遊んだり、みんな大喜び。汗びっしょりで奮闘するサンタクロースはホンジュラスでは当たり前の風景かも、、、。
インチキ賭事師:サン・ペドロ・スーラペ中央公園の賑やかな場所に出現します。賭事師は板切れに小さな伏せたコップを3つ乗せていて、小さな玉をどのコップに入れたか、客に当てさせます。彼は指先で玉を器用にコップからコップへ移動させます。客が当たるかどうか100レンピーラ(約千円)を賭けるのです。客はあまりに簡単に、どのコップに入ったか分かるので、思わず「このコップ!」と言ってしまいます。で、内心(バカな賭事師だなあ、しめしめ)と思います。賭事師はコップの中を見せる前に「じゃあ、100レンピーラ賭けて」と言う。客はポケットの財布に目を落とす。賭事師はそしらぬ顔をしてササッと指先で玉を移動させる。見事な早業!で、あわれな客は、期待に目をらんらんと輝かせて指名したコップを見つめるのですが、、、玉はない。別のコップにあった。その目が一瞬にして失望の色に変わるのを、ああ、私は見てしまった。豊橋のみなさん、世の中、うまい話はないです。気を付けて下さいね。
( _次号に続く )
AAS奨学生リスト
ネパール側の協力組織JAAN担当者のビレンドラさんから届いた2005年新学期のAAS奨学生リストです。20名中4名(No.17_20)が新奨学生です。
S.No. |
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Ms. Asha Kumari Saud アシャ・クマリ・サウダさん |
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2 |
Mr. Sunil Nepali スニル・ネパリ君 |
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3 |
Mr. Nirmal Pandey ニルマル・パンディ君 |
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4 |
Mr. Sushila Maharjan スシラ・マハルジャン君 |
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5 |
Ms. Sylva Tuladhar シルバ・トゥラダハールさん |
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6 |
Ms. Indira Lawat インディラ・ラワットさん |
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7 |
Ms. Ranjita Sijapati ラニータ・シジャパティさん |
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8 |
Mr. Sanit Maharjan サニット・マハルジャン君 |
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9 |
Ms. Karuna Shrestha カルナ・シュレスタさん |
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10 |
Mr. Aman Maharjan アマン・マハルジャン君 |
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11 |
Mr. Raja Ram Kawati ラジャ・ラム・カワティ君 |
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12 |
Ms. Sharmila Silwal シャルミラ・シルワルさん |
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13 |
Mr. Nagendra Jirel ナゲンドラ・ジレル君 |
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14 |
Ms. Lali Maya Tamang ラリ・マヤ・タマンさん |
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15 |
Ms. Meena Basnet ミーナ・バスネットさん |
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16 |
Ms. Nirjala Shrestha ニルジャラ・シュレスタさん |
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17 |
Ms. Aastha Tamang アースタ・タマンさん |
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18 |
Ms. Stuti Sharma ストゥティ・シャルマさん |
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19 |
Ms. Anju Nepali アンジュ・ネパーリさん |
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20 |
Mr. Rajan Banamala ラジャン・バナマラ君 |
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